ナレッジとはKnowの名詞形で成果に繋がる知見・コツのことです。
チームで仕事をする会社ではこれを意識して強みにしているところと、そんなん無関心という会社で、その効力が大きく違っています。同時にそれはその企業の業績アップ・人材育成・事業の成長性と可変性に強く繋がっています。
当然にナレッジ抽出と全社展開を意識的に取り組んでいる企業ほど強いと言えます。中には無意識で、そんなの常識でしょ、という会社も増えてきていると思います。一方でナレッジなんてことには全く無頓着な会社もかなり多く存在していると思われます(言葉だけ使ってるというのも含めて)。

そもそもナレッジとはどんなものなのでしょう?
例えば、新規のお客様への信頼感醸成の為のトーク集や資料を示す手順や、アポの取り方、BtoBなら攻略企業の組織状態・力関係・攻めどころの発見の仕方、NG理由に対するカウンタートーク、PC操作のショートカットキーなど、小っちゃいところから大企業の深堀営業までありとあらゆる業界・企業・場面にナレッジは必ずあります。
しかもそれぞれのフェーズで一つだけでなく様々なパターンが存在しています。(一神教にしてしまうと頭固くなる)
前職ではちょっとしたナレッジから収集していこうということで、「ちょいナレ」「プチナレ」などの小さい事にも名称つけて、しかもそのナレッジ元になった人の名前を付けて「田中ナレッジ」「鈴木ナレッジ」など賞賛的価値も付けて前面展開を進めていました。

そこで大事なのが、どうやってそのナレッジを集めるか?です。
間違いなく色んなナレッジが点在しているのですが、その効果を知った上でそのナレッジを集める手立てが意外とないのです。時々、気の利いた組織長が配下メンバーの工夫を表彰時などにコメントで言ってくれたりしますが、表彰会議で判定するおっさんたちは現場を知らず、その本当の効果など分かっていないケースが多かったりするものです。
抽出する手法としてよくあるのは特定期間のイベントとしてナレッジ賞などと命名して現場から募集する手法。当然、ご褒美付きで。
また、業績表彰のエントリー時に、だいたいどこの会社も結果重視となってしまいガチ(評価する側がそのプロセスのコアな部分が分からないので仕方ない)ですが、必ずそれを実現出来た手法・再現する手法を記載してもらう手法などもあります。

さらに、組織長にナレッジ抽出を義務付ける手法もあります。自組織の成果に最も影響するナレッジ表出を評価制度に組み込んでしまうなど。
あとは、気の利く営業企画チームが抽出しに行く手法もあります。この前提は記載した通り「気が利く」ことが前提で、営業現場トップレベルの力がある営業企画メンバーでないとそのポイントが見つけづらいかも知れません。
上記はあくまで代表的な手法で、それ以外にもあり得ると思います。
そのようにしてナレッジを集められたとして、ここからが重要です。どのように全社展開していくか、です。
表彰・表出に関わるナレッジは受賞した人に必ずそのナレッジを発信してもらうのは当然なのですが、意外と本人はそれを当たり前にやっていて、他者に推奨して絶対マネするべき手法だと思っていなかったりしているものです。出来る人はその出来る理由が意外と分からなかったりするものです。

ここに通訳する人が関わると、そのナレッジの価値が何倍にもなっていきます。
表彰文や発表コメントに他者に伝わりやすいように加工修正のお手伝いをしてあげることが効果的だったりします。ここでも「気の利いた」人が関与してあげないと良いものが出来なかったりします。
「ゴホンと言えば龍角散」のように、ここで効くコツなのだと分かってもらう通訳が必要なのです。(ちょっと例えが古過ぎか。。。)
ナレッジをまねして成果を出した人を褒めるという手法も有効です。全社発信する場などで、敢えてそういうケースを口に出して褒めると、この会社はこれを推奨しているのだ、と直感的に理解できます。誰もが成果が出た方が嬉しいし、褒められる方が嬉しいハズなので、効果的だと思います。
社内コミュニケーションツール(LINEWORKSなど)あれば、それ専用のトークルームを設定するも良し、あるいはそういう場で「ナレッジ」と言う名称や、「●●ナレッジ」などを意図的に頻度高く発信するのも効果的です。これはマスメディアの効果に似ていて、興味なくてもたくさん発信される内容に人は影響を受けるものです(時と場合によっては洗脳となる)。社員全員が普通に「ナレッジ」と言う言葉を使う状態になっていれば、取り敢えず最低限はクリア出来ていると思います。

などなど、ナレッジ抽出法・展開法の基本を書かせて頂きましたが、個人的に最も大事なことはナレッジマネージャーがいるかどうかだと思っています。ナレッジマネージャーとはその会社のナレッジをマネージ(やりくり)する人の事です。正式な役割か、暗黙の了解でそうなったか、はどちらでも良いのですが、多くは営業企画にてその役割が担保されることが多いようです。
「気の利いた」という言葉を記載してきた通り、気の利いたナレッジマネージャーがいるかいないかでその効果は大きく違ってきます。

このナレッジマネージャーをどう見つけて育成するかが非常に重要になってきますが、ナレッジマネージャー向きの人の特性としては、成果を出すには工夫が必要だと信じていて、その手法のメカニズム分解と言語化が出来る人だと思います。あとはモノゴトの法則に気付くのを何より楽しめる人。独りアハ体験を良くしている人はとても向いています。