「足るを知るものは富む」と言うのが正式な言葉で、老荘思想の老子の言葉だそうです。何事に対しても、満足するという意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける、と言う事だそうです。

これはビジネスでも同じだと思います。調子の良い時にバンバン利益を出して株価を上げて株主還元していっても、そこに思想が無ければ調子悪くなった時に悲惨です。そんな時は当然自力回復すべく頑張るのでしょうが、大きなマーケット影響や、どうにもならない政府政策による場合は、そこにある思想や文化や存在意義こそがモノを言うと思うのです。

会社の仕組み化や、従業員教育に力を注ぎ続け、社員エンゲージメントが強く、社会的信念(見せかけでなく本当のこだわり)を感じさせる経営は、ピンチの場面でもチャンスに変えられるように思います。
足るを知る、とは売上・利益のような物質的価値のことを示していて、気持ちや文化、思想などのような観念的価値とは別なのかも知れないなぁ、どちらが本当に重要なのかと言えば後者なのではないかなぁ、と思うようになりました。
手段を追い求めるのか、本来の目的を追いかけるのか、で大きな違いが出てしまいます。目の前のことに夢中になり過ぎたり、少し上手くいっている事に調子に乗ってしまうととんでもないです間違いを犯してしまうかも知れません。どうしても簡単に比較できる売上・利益(その、成長率・ROEなど)などお金に纏わる数値が唯一の基準値になってしまいがちです。

パーパス経営とか言っても、ほとんどは同上の価値基準しか見れていなくて、結果的についてくるはずの売上・利益などの業績数字を必死に追いかけてしまいがちです。
これはトップの胆力次第です。トップやリーダーは何を求めて事業をやっているのか、周囲にいるメンバー達は感じ取ってしまいます。

金が大事なら、金だ!なぜなら○○だから、と正々堂々と言えればまだ良いのです。

が、社会課題解決のために、今月の目標を死んでも達成するのだ!では距離感が離れ過ぎていて、誰がみても胡散臭い印象を持ちます。
そうやってトップの本性はみんなに知られてしまいます。それでもキレイごとを言い続ける裸の王様もいます。
物質的なことについては「足るを知る」、精神的観念的目的を追い続ける人は「富む」のだと思います。
