営業職に就いた時の最初の上司に教えてもらった言葉です。当時は不動産情報誌の広告出稿を不動産会社から頂くお仕事でしたが、この言葉には何度も救われた実績があります。

後日、その上司曰く、自分が担当する現地だけでなく、そのライバル物件現地を知り尽くす事で表面的な仕事ではなくなり、より深く広告提案できるようになる、と言う趣旨の事をお話しされていました。
不動産を買った事も、売った事もない若僧が、本来なら不動産の最適な広告など作れよう筈がないのですが、クライアントよりも、お客様よりも、数多く現地を見る事で、それらのメリデメ・違いに気付き、的確な比較検討出来るような素材提供が出来るようになっていくのです。ネットだけで情報確認するだけでは現地を五感で感じとる情報の足元にも及びません(当時はネットなどありませんでしたが)。

身体をその環境の中に置き、頭で考えているだけのとは全く違う状況で考え直してみると、なぜかたくさんの気付きや疑問が浮かんできます。事前に仮説を可能な限り考えておくとメチャメチャ有効です。あらためて考え直したり、新たに思考再構築の仕切り直しのイベントとして最適です。
この感覚は不動産現地に限りません。組織課題や、現場での実務遂行時の課題、お客様との関係性、メンバー同士の関係性など、ありとあらゆる企業活動に共通する重要な情報収集手法です。
直接見る事で「感じる」事がとても大事なのです。

しかし、この「感じ取る力」は残念ながらかなり個人差があります。

生得的にその能力の高い人がいるのは事実だと思います。ポアロやホームズになれる才能を持った人達です。
我々凡人は、地道にこの能力を鍛えていくしかありません。個人的に思う、その能力を高める手法は、仮説を出来るだけたくさん立てる、現地でその仮説照合してみる、別人格として真っ新な気持ちで観察してみる、オリエンテーリングのつもりで一つでも多くの「新しい発見」を見つけにいく、いちいちメモをとる、等です。

現地に何の目的を持って臨むかを強く意識し、こう言う機会を意図的に数多く作っていくと、感じて気付く感覚がシャープになっていくハズです。
感じて、考えて、組み立てる。この最初の感じる力がかなり重要だと思う今日この頃です。