キャリアアップスタイルを大別すると、山登り型と筏(いかだ)下り型があるようです。
山登り型とは、明確に目標を定めて「あの山の頂上に到達する」と明確に設定してキャリアップするタイプです。

一方、筏下り型とは自らの環境に合わせて現状を乗りこなしていきながらステップアップするタイプ。

一見、山登り型がカッコいいですが、それで成功している人はあまりいないように思います。
その理由としては、未だ熟知していない世界で思い通りの山の頂上に登れる人は才能・環境的に相当恵まれている人が多いように思います。あるいはスポーツの世界のように頂上イメージが比較的明確になりやすいところ。ただし、スポーツの場合も途中下山する人は頂上まで登れる人の数百倍いるのが普通です。同じ頂上を競う相手がたくさんいるので当然ですね。
私が知る限り、成功者のほとんどは筏下り型です。

その理由は前述の通り、スタート時点で知り尽くした世界でステップアップする人はほとんどいないので、仮に最初は特定の頂上を目指していたとしても状況変化や新たに分かってきた情報に基づいて行先を変えて、自分に最も合った目的地に変更する柔軟性を持ち合わせている事が意外と成功の条件だったりするからだと思います。
本当の山登りでは天候激変や、共謀な野生動物の気配を感じたりした時に柔軟に対応策を考えていかないと遭難してしまいます。
状況・環境を冷静に判断して、戦略・戦術を臨機応変に変えられる柔軟性がとても重要な要素です。
一見、敗北に見える瞬間があったとしても、そこからどう対処するか、あらためてベクトルをどう上向きにしていくかを、何度もやれる人が最終的に高い山に登れています。
時々、若い人から、自分はやりたい事が無い、本気で目指したい事が無い、と言ったご相談を受ける事があります。そんな時、「オイラだって若い時は全く同じように思ってた」「そんな時はあまり考え込まずに目の前の事に取り敢えず着手しな」とお伝えしています。
ヒトというのは面白くて「作業興奮」という脳の特性があります。やりたいと思っていなくても作業着手するとノッてくるのです。

この作業興奮を何度も経験していくと、自然と目の前の事にマインドフルで取り組む事が出来るようになっていき、その内に作業スキルが上がっていきます。スキルが上がると得意技が増え、自己肯定感が増して、いつの間にやら好きな業務になっていったりします。その連続が筏下り型の大雑把な成功パターンだと思います。
こういう時に山登り型はむしろマイナス反応(これはオレがやるべき事ではないという勝手な判断)を示す事すらあり、周囲からするとめんどくさい存在になってしまったりもします。ある意味、自分の可能性を閉ざしてしまうリスクすら感じます。
ですのでザックリ目指すべき方向をイメージすれば充分で、あとは目の前の事に集中して取り組むスタイルを手に入れれば、あとは自ずと道が開けてくると思います。
ただし、その際に、自分で決める・自分で決めたという意識をしっかり持てる事が必要だと覆います。
筏のオールを握っているのは自分自身です!
