クレーム対応こそ営業力
私が以前担当していた会社社長たちに「御社のトップ営業マンはどんな人?」と質問しまくった時があったのですが、面白い共通点があったので共有させて頂きます。
たまたまかも知れませんがたくさんの担当企業の中の有力企業3社で、トップ営業マンは前職でクレーム担当窓口(カスタマサービスの責任者など)だったというお話を聞き、ヘェ〜と妙に感心しました!

確かにクレーム対応はトップ営業マンと同等レベル以上のコミュニケーションスキルが必要だと思いました。前向きではない相手に寄り添い、自分に好意的な意思決定してもらうスキルは素晴らしいものがあります。
先ずは気持ち的に聞くスタンスになって頂かないと、論理的な話もお得なご提案も何も聞き入れません。
そこで私が知っているクレーム対応巧者と自分自身の経験を踏まえてクレーム対応のコツを考えてみました。
自分なりのクレーム対応のコツ:①気分を害してしまった事に対して謝罪、②とにかくスピード対応、③逃げない:クレームは犬と同じで逃げるとむしろ勢いづいて追ってくる、④独りでしょいこまない:ヘルプを当然に求めて組織をあげて総力戦に持ち込む、⑤クレームは将来の笑いのネタになる事を知っておく、⑥とは言っても危なそうな場合はスマホで録音しておき、逃げ道を用意しておく。
クレーム対応力の効用・価値:①ネタが出来る(笑いネタ・後輩へ伝授する教育ツール)、②人の対応パターンを体感し引出しを増やせ、営業力が確実に上がる、③自分の振舞いをコントロールする術の練習、④メタ認知を意識することで客観的な視点を持つクセ付けが出来る。

また、真摯に対応してさえいれば、クレームを言ってくる人にむしろ信頼され、仲良くなってしまう事も事情によくあります。これは通常ではあり得ない距離感で、本音で接する状態がそうさせるのだと思います。自分達の戦場を共にした同志になってしまうのだと思います。
また、何事にも「メタ認知」はとても大事で、自分自身の感情に溺れてしまうと視界狭く、思考が硬く、限定的な対応しか出来なくなってしまいます。常に広い視界で見て、柔らかい思考を持つために非常に役立ちます。
https://www.hito-link.jp/media/column/metacognition
ちなみに、私が経験した記憶に残る大きなクレームは5つ。どれも懐かしいですが、やはり二度と経験したくないです。。。
1.前任の上長に対するクレームで、電話口で数時間、叫びまくるお客様。直接訪問すると穏やかに話せる人だった。一緒になって前任上司の悪口を言い合って終わった(笑)
2.取材に行った際に、自分の意見を伝えると、へそを曲げられ無視されてしまった。上司と共に謝罪に行ったら誠意無い対応にイラついたとのこと。言い方の問題だったのか?先方会社内の親しくさせて頂いている別の役職者に聞くと、取引業者に毎回お土産を強要するなど変な人なので気にするな、と言って頂けた。自分のコミュニケーション手法に気を付けなくては、と思うようになったキッカケです。
3.親しい社長に急に怒りだされた。これも謝罪なく言い訳を言ってきたとキレられた。謝罪したつもり、は自分視点でしかなく要注意!相手にこちらの気持ちしっかり伝わる事が当然に大事。
4.取引の交渉をハードにやり過ぎて、自社の副社長にお手紙を書かれてしまった。何万人もいる会社の副社長への直筆のクレームで副社長と多く話し、仲良くなれた。その会社へは出入り禁止となってしまったが部下に動いてもらって更にハードな価格交渉をしかけて、再度クレーム。。。チームで対応するテクが少し身に付いた。
5.トップ取引企業社長から単価の件で大クレーム。午後1時に訪問して、先方社屋から出れたのが翌朝7時。夜中に何度もSECOMから電話がかかってきて、警備はこんな仕組みになってるんだ、と妙に感心。その後、社長とは何度も揉めたが、結局仲良し。かつてのPLOのアラファト議長の交渉を思い出させる事件。交渉には一昼夜かけて相手を根負けさせていたらしい。
とは言っても中には本当に狂ってる人もいるので、そういう場合は警察呼んだり、裁判に持ち込めば自分の手からは離れるので、そうなる事で安全になれると言う逃げ道がある事を認識をしておくのはとても重要です。

対応中はホントに大変で海外逃亡したくなるくらいですが、解決しないクレームはありませんし、どうしてもヤバい時は法律家に入ってもらえば良いだけです。誰も経験していないクレーム対応は終わってしまえば自分だけの自慢話(お宝)にもなります!

クレーム対処しなければならない時は、いったん立ち止まって、未来のネタになると言う事を頭の片隅に置くようにしておくと良さそうです。